「信託財産」と「相続財産」の違いについては、「信託財産」とは、実質的な所有者は受益者ですが、形式的には所有権を委託者から受託者に分けた(移転させた)財産を指し、一方、「相続財産」とは、亡くなった方の財産を指します。
「信託財産」は、委託者(財産の所有者)と受託者(委託者から信託財産の管理を任された者)が信託契約を交わすことで、信託財産の所有権が形式上は受託者に移転します。ただし、実質的な所有権は受益者(信託契約で受益者に指定された者)になります。ここで実質的といっているのは、「信託財産」の運用や処分によって得られる収益が受益者のものになるからです。
一方、「相続財産」は、相続開始の後、法定相続人に所有権が移転します。
なお、委託者が認知症などで被後見人となると、「信託財産」も成年後見人が管理するように思われがちですが、本人が認知症などになる前に家族信託を活用していた場合、家族信託の対象となる「信託財産」については、既に本人(委託者)の手から離れ、受託者に所有権が移転しているため、成年後見人がこれを直接管理することはありません。