「遺産がどれくらいあり、誰に分配したい」という旨を遺言書に残すことで、相続人の手続きの手間や時間は大幅に短縮され、相続人同士の遺産をめぐる争いを未然に防げます。通常は相続人全員の署名・捺印が必要になりますが、遺言書に遺言執行者を指定しておけば執行者の署名・捺印のみでも効力を発揮します。
遺言書には3つの書式があります。費用や改ざんのリスクが異なりますので、まずはそれぞれの特徴をご確認ください。
法律の専門家である税理士事務所などのサポートを受けながら作成する遺言書です。費用はほかの2つよりも高くなりますが、公証役場にて公証人の目の前で作成・提出するため要件不備や紛失、改ざんなどのリスクがほとんどありません。安全かつ効果的な遺言書としてもっとも多く利用されています。
ご自身で作成する遺言書です。自筆のため一切費用はかかりませんが、公証役場を挟まずに自分で保管する必要があり、要件不備や紛失、改ざんのリスクがあります。また、公証役場を通さないため家庭裁判所の検認手続きが必要になります。
※15歳未満の方が作成したものは無効です
※PCなどで作成したものは無効です
ご自身で作成した遺言書を公証人に封印・確認してもらう方法です。遺言書の内容が証人に知られてしまいますが、存在自体は隠すことができます。費用は公正証書遺言と大差がなく、検認手続きの手間や要件不備のリスクがあるので、一般的にはあまり行われない方法です。
遺言書は、他の相続の手続きに対して優先的に効力を発揮しますが、「財産を長男にすべてを与える」といった不公平となる内容の記載がある場合には、本来財産をもらうべき配偶者や他の子供などの今後の生活に大きな支障をきたすことがあります。そこで民法では、他の法定相続人がある程度の相続財産を遺留分として請求できる権利を規定しています。
遺留分は法定相続人となるものが誰であるかによって、その割合が変わってきます。以下の割合を無視した内容の遺言書を作成すると内容が一部無効になってしまいますので、注意しましょう。
配偶者と子供、配偶者と父母、配偶者のみ、 または子供のみが法定相続人である場合 | 被相続人の全財産(死亡前1年間にされた贈与を含む)の1/2 |
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配偶者がおらず、 父母が法定相続人である場合 | 被相続人の全財産(死亡前1年間にされた贈与を含む)の1/3 |
一度書いた遺言書であっても、下記のような場合にはその内容を撤回できます。