「任意後見制度」とは、本人が判断能力を失っていない状態の時に、本人の希望にしたがって後見人を定める方法です。「任意後見制度」は、本人が判断能力を失う前に、本人が判断能力を失った後の本人の生活、療養看護、財産の管理事務を委託することと、その事務に関する代理権を与えることを内容とする契約を、受任者(任意後見人)との間で締結し、受任者に委託するもので、「成年後見制度」の一つの形です。
そもそも「成年後見制度」とは、本人の財産や権利などを守る目的で、本人のために選任された保護者(後見人)が、本人の財産や権利を維持管理することで、本人を支援する制度です。
この「任意後見制度」は、本人が正常な判断ができる時に、本人自らが、本人の意思によって、正常な判断を失った後の取り決めをして、信用できる人を受任者(任意後見人)に選任して受任者との間で契約を締結しておく契約行為です。
このため、「この人に後を任せたい」という本人の想いを尊重できる制度と言えます。
ですが、実際に後見人の事務が開始されてからは、家庭裁判所が定める任意後見監督人の監督を受けなくてはならないなど、実務上さまざまな制約を受けます。