もっとも多いトラブルとして「書式の不備などの単純ミスで遺言書そのものが効力を失う例」があります。
捺印もれ、日付もれ、自筆でなかったこと、といった単純ミスで、遺言書が法の定める必要な書式を満たしていないという例があります。
そう聞くと「単純ミス程度の話か」と感じる人がいるかもしれないが、侮ってはいけません。
「3月吉日」と書かれた遺言書が無効となった例や、正確な日付でも書く場所を間違えただけで遺言すべてがフイになった例もあります。
「ある人が書いた遺言書には、本人の署名と印鑑が押されていました。ところが日付だけがない。
日付は書面を収めた茶封筒に書かれていたのです。
しかも、その封筒は封印されていなかった。
これでは遺族はともかく裁判所は遺言書として認めてくれません。封筒が封印された状態であれば、有効になりますが……」