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介護してくれた相続人に、多く遺産を与えたい場合、どうすれば良いですか?

被相続人を長期にわたり介護・療養をしたり、面倒を見ていたりと、生前、被相続人に対して多くの貢献をしてきた人には、法律上、「寄与分」といわれる権利が認められています。

  1. 「寄与分」が認められるための要件:

次の2点のいずれかに当てはまる人は、「寄与分」が認められる可能性があります。

  • 生前、被相続人の事業に関し、労務の提供または財産上の給付をしたこと。
  • 生前、被相続人への療養・看護その他の方法によって、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をしたとき。

 
<「寄与分」を定める時の注意点>
「寄与分」は、生前どの程度被相続人に対して貢献してきたか、貢献の時期その他あらゆる事情を考慮して、相続人同士で協議して決めることになっています。上記1.で説明したとおり、「寄与分」が認められるには被相続人の財産の維持・増加につき特別の寄与があることが必要になります。
ここでいう“特別な寄与”とは、あくまで財産上の効果を伴う寄与のことを指します。
単に親族間の常識的な扶養の範囲に含まれる寄与は、“特別な寄与”とは言えません。被相続人が事業をしてきたが、その事業にともに協力し、事業を成功させ財産が増加したとか、介護費用を何十年も被相続人の代わりに支払って、財産の維持を図った(減少を食い止めた)などが“特別な寄与”と言えるでしょう。
 

  1. 「寄与分」を定めるのに協議が整わない時:

「寄与分」について、相続人間で話し合いをしても、お互いの権利主張ばかりが先行して協議が整わないときは、やむを得ず家庭裁判所で「寄与分」を定める審判を申し立てることになります。ただし、家庭裁判所では、遺産分割調停において、この「寄与分」についての紛争を解決するよう求めることが多いようです。
このように「寄与分」を認めてもらうには、かなりの時間と労力がかかるケースもありますので、遺言を残してもらうのが一番よいでしょう。
 
<改正相続法による民法1050条 特別の寄与の新設>
2019年7月1日に施行された改正相続法では、新たに民法1050条 (特別の寄与)が新設されました。
従来は、寄与分の権利を主張できるのは法定相続人のみでしたが、この改正により、相続人以外の親族が、被相続人の介護や療養看護などを無償でしていた場合、相続人に対して金銭の支払いを請求できるようになりました。
この貢献のことを「特別の寄与」と言い、貢献した人を「特別寄与者」、受け取る金銭のことを「特別寄与料」といいます。
特別寄与者となるための条件は下記の通りです。
・無償の療養看護、介護など
・被相続人の財産が維持又は増加
・相続人以外の親族であること
相続人、相続の放棄をした者、欠格事由に該当し又は廃除によってその相続権を失った者は特別寄与者にはなれません。
特別寄与料の請求について:
特別寄与料についても、寄与分同様、原則は当事者間での協議で決まります。また、協議が調わないときや協議ができないときは、特別寄与者は家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することが出来ます。 ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この請求は出来なくなりますので注意が必要です。
「特別の寄与」と認められるために、無償で療養看護その他の労務の提供をした資料・証拠等を集めて残しておくことが重要です。普段から介護日記をつけたり、関連する出費のレシートを保管したりしておくといいでしょう。
なお、特別寄与者と相続人で行う特別寄与料の支払いに関する協議は、相続人がする遺産分割協議とは別の協議です。特別寄与者が遺産分割協議に参加するということではありません。

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