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【認知症対策】家族信託とは?不動産を守るために知っておきたい仕組み

認知症になる前の対策が大切です
日本では高齢化がすすみ、認知症になる方が年々増えています。

認知症になると、預貯金の引き出しや不動産の売却など、大切な財産の管理が思うようにできなくなる可能性があります。
特に、不動産を所有している方は「親が認知症になって実家が売れない」「賃貸アパートを立て替えられない」といった問題に直面するケースが少なくありません。

そこで近年、認知症対策や相続対策として注目されているのが家族信託です。

今回は、家族信託の仕組みやメリット・デメリット、成年後見制度との違いについてわかりやすく解説します。

不動産の所有権とは?

不動産の所有者には「所有権」という権利があります。
この所有権は、大きく次の二つの権利に分けて考えることができます。

①管理権
不動産をどのように管理・運用するかを決める権利です。

たとえば、
・建物を修繕する
・建て替える
・リフォームする
・賃貸に出す
・売却する
といった判断を行える権利です。

②受益権
不動産から得られる利益を受け取る権利です。

たとえば、
・家賃収入
・売却代金
・駐車場収入
などは、受益権を持つ人の財産になります。

つまり、不動産の所有者は
・管理する権利
・利益を受け取る権利

の二つから構成されていると考えられます。

不動産の所有者が認知症になったらどうなる?

たとえば、不動産の所有者である父親が認知症になり、判断能力が低下した場合、家族は自由にその不動産を売却できるのでしょうか。

答えは原則としてできません。

たとえ家族であっても、本人の代わりに勝手に売却したり、建て替えたりすることはできません。

不動産を売却したいタイミングで認知症になってしまうと、
・相続対策が進められない
・空き家になってしまう
・修繕も難しくなる
・資産価値が下がる

など、大きな問題につながることがあります。

これを「財産凍結」と呼ぶこともあります。

成年後見制度でも自由に売却できるとは限りません
判断能力が失われた場合には、成年後見制度を利用する方法があります。
しかし、成年後見制度は本人の財産を守ることを目的としている制度です。

そのため、
・相続対策
・資産運用
・不動産の組み換え
などを目的とした売却は認められにくくなっています。

たとえば、
「施設入居費用を支払うため」
など本人の利益になる合理的な理由がなければ、家庭裁判所の許可が下りないケースも少なくありません。

つまり、成年後見制度では思い通りの財産管理が難しい場合があります。

認知症対策として注目される「家族信託」

そこで近年、多くの方が活用しているのが家族信託です。

家族信託とは、
「財産の管理を信頼できる家族に任せる契約」です。

家族信託では、所有権のうち
・管理権だけを家族へ移し
・受益権は本人が持ち続けます

そのため、
・不動産の管理
・修繕
・建て替え
・売却

などは家族が行い、
家賃収入や売却代金は本人が受け取ることができます。

認知症になった跡でも、契約内容に従って家族がスムーズに財産管理を継続できる点がメリットです。

家族信託で不動産を売却する流れ
以前は、生前贈与によって不動産を子どもへ移す方法が一般的でした。

しかし、生前贈与では所有権そのものを移転するため、
・贈与税
・不動産取得税
・登録免許税
など、多額の税負担が発生する可能性があります。

さらに、贈与税申告が必要になれば税理士報酬も発生します。

一方家族信託では、
管理権だけを移転し、受益権を本人に残すかたちであれば、
原則として贈与税は発生しません。

また、
・不動産取得税は原則非課税
・登録免許税も贈与低い税率となるケースがあります。

費用面でも利用しやすい制度として注目されています。

※契約内容によって税務上の取り扱いが異なるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。

遺言の代わりとしても活用できる
家族信託は、相続発生後の財産の承継先を契約で定められるため、遺言書の機能の一部を補完することもできます。

たとえば、
父が亡くなった後
・管理は長男
・家賃収入は母
というかたちを契約で定めておくことが可能です。

これにより、
残された家族の生活資金を確保しながら、不動産管理も円滑に行えます。
認知症対策と相続対策を同時に進められる点も家族信託の大きな魅力です。

家族信託のデメリット

便利な制度である一方、注意点もあります。

たとえば、
損益通算が制限される場合がある
家賃アパートを複数所有してる場合、信託した物件の赤字を他の物件の黒字と損益通算できないケースがあります。
大規模修繕を予定している物件では慎重な検討が必要です。

空き家特例が利用できないケースがある
一定の要件を満たせば利用できる「空き家の3,000万円特別控除」が、家族信託では適用できない場合があります。

契約内容の設計が重要
家族信託は、契約内容によって将来の財産管理や相続に大きく影響します。
十分な知識がないまま契約すると、思い通りの運用ができなくなることもあります。

家族信託がおすすめな方

次のような方は、家族信託の活用を検討する価値があります。
・不動産を所有している方
・アパート、マンション経営をしてる方
・認知症に備えたい方
・相続で揉めたくない方
・将来の財産管理を家族に任せたい方
・空き家になる前に売却や建て替えを考えている方

まとめ

認知症になると、自分の財産であっても自由に管理・売却できなくなる可能性があります。
その結果、資産が凍結され、ご家族も対応に困るケースがすくなくありません。

家族信託は、認知症による財産凍結を防ぎながら、本人の利益を守りつつ、信頼できる家族へ財産管理を任せられる制度です。

一方で、税務や契約内容によっては注意すべき点もあるため、家族信託を検討する際は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家へ相談し、ご自身やご家族に合った仕組みを設計することが重要です。

認知症対策は「元気なうち」だからこそできる生前対策です。将来の安心のためにも早めに準備を始めましょう。



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