成年後見制度

成年後見制度とは何か

2015年1月7日、厚生労働省は全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表しました。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症という計算になります。

また、認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しであることから、認知症はもはや特別な病気ではなく、身近な病気です。

これだけ多くの認知症を患った高齢者が多いとそれを狙う犯罪も増えてきます。そうした犯罪から守るため、成年後見制度が整備されました。大まかにいうと、後見人に選ばれた人が本人に代わって財産の管理や介護サービスの契約などを行う制度です。

成年後見制度には、本人の判断能力がなくなってから利用する「法定後見制度」と元気なうちに利用する「任意後見制度」の2つがあります。

しかし、制度の内容が複雑で難しいため、利用している人はあまり多くありません。中には、制度の内容を誤って理解している方も少なくありません。特に、相続対策に活用しようと考えている場合は注意が必要です。
※日常生活に支障の出る症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意すれば自立できる状態。

法定後見制度は相続対策には『なりません』

相続対策として土地活用を進めていると、知症や脳疾患などで本人の判断能力が失われ、銀行の融資が下りなくなったり、引き渡しの段階で裁判所から許可が下りなくなったりする場合があります。
この場合、法定後見制度を利用すれば、後見人が本人に代わって計画を進められると考えがちですが、実はそういったことはできません。

後見人の役割は飽くまで「本人の財産を保全すること」です。
したがって、贈与・寄付、投資、利益相反行為は原則できないことになっています。そして相続対策も、飽くまで相続人のためのものであって本人の利益になるものではない為にできなくなってしまうのです。

また、居住用不動産についても本人が住んでいるかどうかに関係なく、売却、賃貸借、抵当権の設定、建物の取り壊しなども、本人にとって具体的な必要性がなければ認められません。
つまり、本人の預かり知らぬところで資産がほぼ凍結されることになります。 こうならないために、備えとして事前に活用するのがもう一つの「任意後見制度」です。

任意後見制度で備える”万が一”

「任意後見制度」と「法定後見制度」の大きな違いは、それを利用する時期です。

法定後見人制度

本人の判断能力がなくなってから利用する制度です。
この制度を利用すると、事実上資産が凍結してしまいます。

任意後見制度

判断能力が無くなる前、事前に利用する制度です。
この制度を利用すると、自分で選んだ後見人に、財産の保存・管理・処分について、自分の意思を託すことができます。居住用不動産についても、処分の許可を任意後見契約の内容に明記していれば処分することができます。

まず「任意後見制度」が「法定後見制度」と違うのは、それを利用する時期です。

「法定後見制度」は本人の判断能力がなくなってから、「任意後見制度」は本人の判断能力があるうちに利用します。そして「法定後見制度」では、事実上資産が凍結してしまうのに対して、「任意後見制度」では、自分で選んだ後見人に、財産の保存・管理・処分について、自分の意思を託すことができるのです。居住用不動産についても、処分の許可を任意後見契約の内容に明記していれば処分ができます。

どちらも一般的には契約書に代理権目録を作成して詳細を書きます。ここには、財産の管理、相続対策の他に、医療、介護関連などを記載していきます。

また、後見人には監督人のチェックが入ります。違法性はないか、妥当性はあるか等です。例えば、アパート経営を始める際に組むローンの金額が妥当か、といったことが挙げられます。これには、税理士によるシミュレーションを付けるのがわかりやすいかと思います。内容は途中で書き換えて変更することもできます。任意後見制度は、将来の“万が一”に備えることのできる制度なのです。